一人ひとりが聞く子どもに育つ教室の作り方
今回も本の内容のまとめと感想です。
意図せず時間に余裕ができたのでこの2週間は来年度に向けて少しでも引き出しを増やして子どもの笑顔を引き出せるようにしていきたいと考えています。 学びを得たことはこれからもどんどんアウトプットしていきます!
今回は以前紹介した多賀先生の続編を紹介します。 今回も「聞く」ということに焦点を当ててそのために大切なことが書かれています。
聞く力というのはやはり近道があるのではなく、教師がしっかりとした覚悟とビジョンを持って子どもと接することで少しずつついてくるものなのだと思いました。また、子どもには個性があり、聞く力もそれぞれにあったやり方があるということがわかりました。 一人ひとりを見取り、個別にアプローチするという部分はどのような場合でも大切だと改めて思いました。
来年度は「聞き合い」や対話という部分を子どもたちと共に大切にしていきたいです。
以下は本の内容のまとめです。
『一人ひとりが聞く子どもに育つ教室の作り方』
対話がつながらないのは子どもが聞くことができないから
対話とは相手を言い負かすことではなく、相手の意見に納得し、それを踏まえて自分の意見を深めること。win_winの関係
★子ども一人ひとりの特性をみとり、それぞれに応じたアプローチをして聞く姿勢を育てる
a.話し手に関心を示さない
無理強いはせずにその子が関心の高そうなテーマを設定する。話し合いに参加しようとする姿が見られたら価値付け、聞くことの良さに気づかせる
b.自分の興味関心のあるものに没頭しすぎる
自分の課題に対する意識を高める。また、時間や自分の聞き方に、意識を向けさせチェックシートで自分で評価させる。
c.自己顕示欲が強い
話し手の時間配分を明確にする。 その時間はその人以外しゃべれないように徹底し、自己顕示欲を抑制する。
d.他人のことが読めないから不安
対面することが苦手ということを認めて、その子を変えようとするのではなく、周りが温かい雰囲気を作れるように育てる。
e.すぐに聞くのに飽きてしまう
自分で直そうと意識させる。そのために聞き方自己評価シートを作ったり、聞き方を教えることによって意識が飛ばないようにさせる。
f.興味のあることしか聞かない(わがまま?)
自分が関わらざるを得ないような責任を負わせる。また、聞き方のアクティビティを通して相手がどういうおもいで話しているのかどのように聞けば話やすいかを考えさせる。
g.聞いてはいるが、内容が掴めない(理解力不足)
聞き取りベスト5などで常日頃から聞く力を育てる。 
h.聞く力はあっても、早飲み込みしてしまう
メモを取りながら聞くなど、その子にあった聞き方を提示していく。
i.聞く子どもの理想像
集中して要点を掴んで聞ける子ども。どんな学びにも対応できて成果をあげられる。 全員でなくてもクラスに数人いれば十分
個性にあった聞き方をアドバイスしていくことが大切。
★協同学習における聞くこと
・聞き合いで育つもの
まず、聞き合いで聞く習慣をつくる。それと同時に話し手に聞いてもらえたという体験をつませる。 ただ聞くのではなく、その前に自分の考えをあらかじめ書かせておくことで自分の考えと比較し、深めることにつながる。
・聞き合う力とは? 聞くというのは一瞬の出来事でとても難しいもの。その中で必要になる力
○聞き取る力 全ての基本。基礎学力が必要
○自己抑制力 自分の言いたいことを抑えて聞くことができるか
○要約聴取力 話し手の一番言いたいことの中心をつかむ力
○事実と話し手の意見を聞き分ける力 一瞬で聞き分ける。読解授業で表現の仕方を知ることが前提
○相手の表情を読む力 相手への思いやりが必須。まずは低学年から相手の顔を見て話し、相手の顔を見て聞くをっ徹底する。
※聞くことは目に見えないので、自分自身で認知し高めていくことが必要。
・対話のレベル ペア学習にも系統生と目的を持たせる。
「とりあえず話してみて」ではなく、ここで必要になると計画性を持って取り組むことが大切。
レベル1(1-3年) ペアでの話を楽しいと思ってもらう。そのためにお互いが話せるように聞く時間も必ず取る。
レベル2(3-5年) ペアの話を聞いたあと、聞き手が質問をしたりする機会をもうけ、質問力をアップさせていく。
レベル3(5-6年) 小学校での完成形。 相手の思い、考えを受け止めて、それに対して質問したり感想を述べたりする。
★話すことが苦手な子どものタイプを知る
a.話し下手
大きな原因は緊張してしまうことにある。
対応策 ①場数を踏む その中で最初は失敗させない配慮をする。
②緊張しているのは自分だけではないと伝える。 自分だけじゃないと伝えてあげることで気持ちを軽くする。
③深呼吸する
④話すための基礎トレーニング 毎朝でも少しずつ話す機会を作る。
b.話すことに自信が持てない
共通しているのは自己肯定感が低いということ
期間指導の中で「いいこと書いてるね」や「おもしろい意見だね」などと背中を押してあげるなどをして自信を持てるためのきっかけを与えてあげる。
c.話に入るタイミングがつかめない
割って入るのが苦手な子どもにも話す機会を与えるために、話し合いの時は一人ひとりの時間を区切るという手立てを作る。
d.他者を気にしすぎる
他者の意見はいい意見もあると伝えていき、話すためにメモなどにまとめるなどをして話すことを固めるなどの技術的なやり方を伝えて話す機会をつくる。
e.謙譲の美徳
譲れることの素晴らしさを認めつつ、積極的な意見の開示も大切だと伝えていく。
f.考えがなかなかまとまらない
まとまらない場合はそのことを認め、話せなくても人の話を聞けているのか、というところで評価していく。 できないことが自己否定につながらないようにしていくことが最も重要。
★問いかける力(質問力)
質問はわかろうとする気持ちがなくては絶対にできない。なので、関心を持つということが大切。
①話す人への関心 その人への関心があると質問が多く出る。 なので、クラス自体を温かい雰囲気にしていくことが大切。
②話す内容への関心 自分たちに直接関係のある話などは質問が出やすい
③関心を高めて質問を増やす 学習で関心が高まるためには、自分の考えを持つことが必要。きちんと自分の考えをノートにまとめる時間を取ることでそのあと他の人が話す内容に関心が高まる。
質問で大切なこと
①相手への配慮 相手の顔をみて、相手の反応を確認させる。 相手の感情を意識して質問する。
②問いかけに注意 分かっている子どもが質問の形で相手の子どもに問いかけると相手は嫌な気持ちになる。 常に子どもの関係はフラットであるということを意識する。
質問の根底に持つべきもの
質問には相手へのリスペクトと思いやりが必ず必要。 できている子どもを取り上げ、価値付けていくことで意識させる。
相手の良さを引き出す
対話では、相手の話を肯定的に聞くことが大切。そのために質問する前に相手の一番言いたいことを見つけることを意識させる。 そのことが相手の良さを引き出すことになる。
質問の準備を整える
これができるようになれば将来にわたってすごい力になる。