加藤のアウトプットブログ

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全員を聞く子どもにする教室の作り方

もうじき一年が終わろうとしていますが、「聞く」ということの難しさを痛感している時にこの本に出会いました! 結論から言うと読んでよかった。これから実践していきたいことがたくさんありました。筆者の多賀さんの本をもっと読んでみたいと思いました。

内容

全員を聞く子どもにする教室の作り方

1.聞くことの大切さと学級づくり 「聞く」ということは学級経営の一番基礎。これができてないと授業も学級経営もうまくいかない。先生や友だちの話を「聞く」ことができる学級は崩れない。

2.「聞く」指導で抑えておきたい7つのこと ①教室で大切にしたい3つのきく 「聞く」一般的なきく 「訊く」訊問のようにきく 「聴く」目と心できく。一番大切にする ②聞くことは今までおざなりにされてきた ③聞くことは躾ではない 「聞く」というのは躾ではなく、「聞こう」とする気持ちに大きく関係する。 ④親切な説明は逆に聞く力を低下させる。 書いてないことだけ言うや、要点を伝えるようにすると集中力が高まる。 ⑤個々の聞く力は同じではない 聞くというのは今までの生活環境で大きく変わってくるのでレベルに合わせた指導が大切。 ⑥「聞く」ことの指導の系統性がはっきりしない 各学年での評価を明確にする。 ⑦「聞く」ことの努力は見えにくい 聞いた後ですぐ動作がさせるなど、聞いていることを目に見えるようにする

3どうすれば「聞く」子どもたちを育てられるか ①「聞こう」という意思を持たせる カクテルパーティー効果を実感させ、聞こうという気持ちがないと、聞こえていても聞くことができないと意識させる。 ②「聞く」ことは大切だと意識づける 聞くことの大切さ、なぜ聞かないといけないかを伝える。自分の成長のチャンスを放り出さないと伝え続ける。 ③教師が守るべき「聞く」ルール ⅰ聞かないとか特に子ども同士の話を聞かない時は厳しく注意する。 教えてあげる子にも教えさせない。 ⅱ聞かないときには話さない。教師の決意を子どもたちに伝える。それでも静かにならない時はその子たちを指差して待つ。 ④あえて逆のことをさせて一対多数の場合の聞き取り方を教える。 子どもに前で話させて、顔をみているのとそっぽ向いているのどちらがいいかを体験させる。低学年では姿勢と顔を向けて黙って最後まで聞く。中学年以上ではうなずいたり首を傾げたり反応することを教える。 ⑤一対一の場合の聞き取り方を教える 聞き方を教えて実践する。 ⑥聞く時はアルバイトさせない 聞く時は何も触らない。低学年は机の上何もなし。高学年は何も触らずに聞く。

4.「聞く子ども」に育てるための教師の話し方 ①教師自身が言語環境である 教師の言葉が子どもたちの聞き方を左右するという自覚を持つ。 ②子どもにオウム返しをしてはいけない 子どもが聞き合わなくなるのでオウム返しは絶対にしない。教師が我慢する。 ③子どもに話す場合、緩急、強弱をつける 「間」を大切にし、お笑いを真似して話し方を学ぶ ④話しているときは子どもを油断させない 子どもが想定できないことを入れ、子どもをだらけさせない。そのときに必ず言い直さない。 ⑤教師が話すことに、いつも何かを期待させる 子どもに「どうせ」と思われると聞く心は育たない。突然面白いことを言い出す、や何をいうかわからないというドキドキ感が子どもの聞く意欲を引き出す。 ⑥子どもへの注意は一つに絞る 子どもへの注意は1人が1つすれば十分。多くしても中途半端になる。 ⑦今時の子どもにあった話し方をする 今時の子は早いペースの環境に慣れているので、早いのをベースにテンポをつける ⑧子どもへ話す時は適度な量と時間を考える 子どもの年齢、コンディションを感じて話す分量を調節する。

5.いろいろな学習活動を、「聞く」視点から見直す ①いろいろな「聞く」には、それぞれに違う活動がある 「聞く」を一つにまとめるのではなく、それぞれの聞くに合った授業を仕組んでいく。 ②友だちや先生の言葉に「聞き浸る」ために 何も見せず、ただひたすら聞くことに集中させる。 ③「聞き入る」と「聴き比べる」の違い 指名を複数すると「聴き比べる」になってしまう。その意図を教師が持つことが大切。 ④聞いていなければならないという緊張感を作る 突然指名を増やす。また、ノンバーバルで子どもを指名し、静かな雰囲気を作る ⑤皆で「聴き合う」 グループ発表の数は一つ。複数にすると準備の間は聞かずにアルバイトをしていることになる ⑥学級の話し合いの中で「聞く」を鍛える ⅰ思いやりのある聞き直しで全員が聴こうとするムードを作る。相手を攻撃せずに落ち着いた言葉で伝えるようにする。 ⅱ友だちの話を聞くときの反応の仕方を教えてみんなで実践する。 ⅲ「いい耳」をつくる。個人のいい耳チェックとクラスのいい耳チェックを行い、教師が子どもの様子を見て、いい耳チェックを動かして現状を気づかせる

6.「聞く」力をつける学習ゲーム ①オムニバス授業で「聞く」力をつける学習ゲームをする。 5分10分30分が基本の流れ。メインを30分で終わらせるために教材研究を重ね、無駄な部分を削ぎ落とす。 ②読み取りから聞き取りへビンゴゲームで移行 読んでキーワードを拾う学習から聞き取ってキーワードを拾う学習へ移行させる。 ③「聞いてQ」ー盛り上がる「聞き取り」クイズ 少し長めの文章をきかせて、そのクイズを出す。民話や神話の読み聞かせにするのもあり。 ④「この絵なんの絵、気になる絵」 -「聞く」と「話す」を組み合わせた取り組み- 絵に描いた簡単な図形を子どもに当てさせる。 誰か1人に説明させる。わからないところは質問させる。集中して聞くことを身につけさせる。 ⑤聞き取りミニゲームで、聞いたことを可視化する。 ⅰ 「三文字しりとり」 何度も同じ言葉を使ってもOK。リズムを崩したり、つまったりするとアウト。違う言葉を探せた子を価値づける。 ⅱ 「仲間外れをあてよう」 5つか6つの言葉の中で仲間外れを探す。 ⅲ 「指抜きゲーム」 キーワードが出てきたら同時に右手の輪っかをすぼめて、左手をぬく。 ⅳ 「伝言ゲーム」 言葉を脈略のないものや長くすることで聞き取るために集中させる。 ⅴ 「落ちた落ちた」 教師の〇〇に合わせた動作をとる。 慣れてきたら動作化が難しかったり、イメージが膨らむような言葉を選ぶ。 ⅵ 「誰の声かな」 レコーダーに一人一人の適当な短い文を録音していき、ランダムに流す。 ⅶ 「歌に合わせてホイサッサ」 教師の歌に合わせて子どもたちに歌詞通りの動きをさせる。最初は簡単に、そして次第におかしく、難しくなるようにする。 ※聞き取りゲームをすると力がついてくるように感じるが、マンネリさせないように常に様々なアイデアと工夫をする。

7.聞くことに視点をあてたグループエンカウンターで、クラスが聴き合う ①ミラーリング・コミュニケーションで受け止めて聞く 長期休みの直後2人1組で1人ずつ休みの中で強く心に残ったことを短く話す。 聞き手は笑顔でうなずきながらきく。そして聞き終わると話したことと同じことを繰り返す。(はじめにそうすることを伝えておく。) それを何ペアも繰り返す。 ②「友だちレポーター」でわかり合うために聞く 4人組で右隣の人をいいところを見つけてニックネームと一緒に伝える。合図で次の人に変わる。 次に8人組で同じことをする。 インタビューカードに尋ねたい項目を5つ書き、3人以上の人からインタビューをする。 ※最初から仲間が存在しているわけではなく、学級で出会った者たちが分かり合っていく中で、学級が作られていく。

8.普段の授業で「聞く」ことに焦点をあてる 聞き取る指導ポイント表  学年に応じた目標をもつ。 全てに共通しているのは正確に聞き取るという部分。 ①辞典の活用を「聞き取り」の学習に応用する 二人に調べた語句を1回ずつ発表させ、それを書き取る。ノートを提出させて、「今そのときに聞き取って書く」ことを徹底する。 ②アニマシオン(本を使った聞き取り学習) ーダウトをさがせ 文を一度読み聞かせをした後に間違った文を読み、間違っていたら声を上げ、間違いを指摘する。もし、違えば三回休み。 ③発表学習のときにどう聞かせるか チェックシートをつくり、発表をチェックさせる。自分の採点と教師の採点を比較させ聞き方のポイントを理解させる。 ④作文指導と絡ませた聞く学習 先生がに続けてヒントから考えるものを書く。それを順番に書かせて、最後には自分の感想を書かせる。 ⑤音読の仕方を聞き比べる 音読を聞き比べ、技法の意味をみんなで考える ⑥クラス全員が「音読マイスター」になる 最初の5人は教師がマイスターを認定し、後はマイスターが子どもたちを認定する。その時簡単には合格は出さず、しっかり聞かせる。

9.「聞く」だけで子どもが変わる絵本の読み聞かせ ①読み聞かせで聞き入らせることができる まずは絵本の読み聞かせをして聞き入るということを実感させ、経験させる。 ②学級目標とつなげて絵本を選ぶ 学級目標につなげて絵本を選ぶことで子どもたちのバックボーンになる。

10.「聞く」ルールのある学級づくりをする ①クラスの仲間が「伝えたい相手」になりうるか 何かを発言したときに、ざわついて聞いていない 前向きなことを言っているのに否定的な反応が返ってくる 発言に対して、何の反応もしてくれない 発言を途中でさえ遮ったり、関係のないことを言い出したりする。 こういうことが起こらないように学級のルールを作る。 ⅰ 友だちが発言しているときは、静かにする。 教師自身が率先して雰囲気を作る。徹底して静かな雰囲気を作らせる ⅱ 発言に文句をつけない。意見があったら、ちゃんと反論する 友だちの発言には一切文句をつけさせない。否定的な発言を一つ一つ叩き潰していくという教師の確固たる意思と根気が必要。 ⅲ いいと思った発言には、拍手で支持する 拍手をルールで取り上げ、何度か練習する。そうして自然に拍手がわき起こる雰囲気を作る ⅳ 人の話は最後まで聞く 不規則発言を「雑音」と呼んで無視させる。 不規則発言は徹底的に取り上げさせない。 ②クラスの仲間が互いに「伝えたい相手」となる手立て 学級のルールを作ったら徹底して守らせる。形式を作った後、子どもたちに真剣にならざるを得ないテーマで話し合いをさせ、子どもたちの本気の意見を聴き合う環境を作る。

11.「聞く力」はこう評価する ①「聞く力」の評価の難しさ 表現が難しい子でもかける方法で聞く力を評価する。 ②「聞く力」の評価方法 ⅰ チェックリストを使う チェックリストで自己評価させ、自分の聞き方を客観視させる  ⅱ 何かを聞いた後すぐに反応できたかを評価する。 聞き取りゲームの後の動作化などで聞いたかどうかを判断する。 ⅲ 「聞く」ことに関するカルテを作る 2ヶ月ごとにひょうかし、客観的な聞く力を評価する。 「聞き方の特徴」 教師の観察によって評価する。聞かない、聞けない理由や種類を考えるようにする 「聞き入る」 読み聞かせのときに聞き入っているかをチェックする。キョロキョロしたり、話しかけたり、立ち上がったりしていないかを観察する 「聞き取りゲーム」の記録 ゲームの時に聞き直しをせずにできているか 「聞き返し」と「聞き直し」 教師の観察。正確に聞こうとする意志があるか 聞き分けることができているか 聞き分ける学習の子どもたちの状態を記録する。読み方の正しさを考えるというとき。ノートに書かせてできているかどうかを判断する。 「子どもの変化」・「分かったこと」 どう変化しているかで気づいたことを記録していく。評価ではなく、現状を把握し、これからの指導に生かす。 

12.一人一人の子どもの聞く姿にどう対応していくか ①話を聞く途中で何か思いつくと、そこから聞けなくなる子ども 自分で引っかかることがあると聞くことができなくなる。意志が弱いということなので、そばに行ったり指をさしたりして子ども自身に気づかせてあげる。粘り強く指導していく。 ②話を聞き切らずに思ったことをすぐ口にしてしまう子ども こういう子どもは欲求不満であることがおおく、自分を受け止めてもらってないと実感していることが多い。なのでまずは分かってあげる。子どもの思いを受け止めて少しずつ聞けるように支援していく。 ③「いわし聞き」してしまう子ども 「いわし聞き」人の話を部分だけかじって聞く。 「くじら聞き」人の話を全部丸ごと聞く。 「くじら聞き」になるためにはどうすればいいかを考えさせ、常に意識して指導する。 ④人に厳しすぎる子ども 優しい聞き方をしている子を取り上げて値打ちを示し、学級を温かい雰囲気にしていく。

13.まず、教師が聞くこと ①聞ききる 子どもの拙い話や不十分な表現に口を挟まず最後まで聞く。 ②聞きとどめる 緊急案件以外はノートに記録して次に同じことが出てきた時に前回のことと合わせて考える。そのために記録に残す。 ③聞きがける 教師が子どもの様子を観察し声をかけ、話を聞く。 一番大切なのは「聞くこと」が人を大切にすること。「聞かないこと」は相手に失礼なことということ。 そのことを伝えるために教師自身が一番に実践する。そのために子どもの声に耳を傾け、その目で子どもの様子を感じ取り、その心で全力で受け止める。 まずは教師から「聞くこと」をスタートする。

まとめ 聞くというのは一番基本だけど一番難しい。それをクラス全員で実践していく。これは教師の確固たる意志と日々の積み重ねからしかなし得ないことなのだと改めて思いました。 まずは学校で一番聞けるクラスを作る。 そのために教師自身が体全体で聞き、そこから子どもたちと一緒に聞きあえるクラスを作り上げていこうと思えました。